CHAPTER 04 / 06

焙煎実践:標準プロセス解説

このページの内容

前提条件(Step 0)

本書に記載する照射出力・時間は、すべて**生豆144gを洗浄し、50℃の温水溶液(蜂蜜・果糖添加)で30分間吸水させた状態(180g〜190g台)**を基準としています。

備考
洗浄・吸水処理を行わずに生豆を乾燥状態のまま焙煎する場合は、初期水分量および熱容量が異なるため、本プロファイルから照射時間・出力の調整が必要です。


標準オペレーション手順

Step 1: 容器の密閉(フタの装着)

生豆の品温を速やかに上昇させ、熱気と蒸気を循環させるため、耐熱ガラスシリンダーにフタを装着します。

Step 2: 台座(割り箸)への設置

電子レンジ庫内底面の中央に無塗装の木製割り箸を置き、その上にシリンダーを直立させます。

木製の割り箸の上に置いたガラス容器
木製の割り箸の上に置いたガラス容器

Step 3: 初期均一加熱(300Wによる予熱)

加熱ムラを防ぐため、低出力(300W)で水の沸点手前(約90℃)まで昇温させます。

  • 設定: 300W × 60秒照射 + 25〜30秒撹拌 × 4セット
  • 4セット完了後、品温は約90℃、水分蒸発により総重量が約2.5g〜3.0g減少します。
セット 出力 照射時間 撹拌インターバル 目標温度
1 300W 60秒 25〜30秒 -
2 300W 60秒 25〜30秒 -
3 300W 60秒 25〜30秒 -
4 300W 60秒 25〜30秒 外面約90℃

Step 4: 本格加熱(高出力+中出力の併用)

水分を飛ばし品温を急速に引き上げるため、800Wと中出力を交互に適用します。
豆の焦げ付きを防ぐため、800Wの連続照射は避けてください。

また、本ステップ以降は、撹拌時に毎回フタを一瞬(1秒以内)開けて排気を行い、すぐにフタを閉めてレンジに戻します。

パターン A: ナチュラル精製・浅煎りターゲット

熱が入りやすいため、800Wと600Wを組み合わせます。

セット 出力 照射時間 撹拌インターバル
5 800W 30秒 25〜30秒
6 600W 40秒 25〜30秒
7 800W 30秒 25〜30秒
8 600W 40秒 25〜30秒

パターン B: ナチュラル精製・標準(中煎りターゲット)

少し熱量を多く蓄積させます。

セット 出力 照射時間 撹拌インターバル
5 800W 30秒 25〜30秒
6 500W 50秒 25〜30秒
7 800W 30秒 25〜30秒
8 600W 40秒 25〜30秒

パターン C: ウォッシュド精製(中深煎り〜シティターゲット)

水分量が多いため、500W×50sを用いて熱量を大きく稼ぎます。

セット 出力 照射時間 撹拌インターバル
5 800W 30秒 25〜30秒
6 500W 50秒 25〜30秒
7 800W 30秒 25〜30秒
8 500W 50秒 25〜30秒

Step 5: 定常加熱(中出力によるハゼ準備)

豆表面が薄く色づき始めたら、焦げ付きリスクを低減するため800Wを停止し、中出力(500Wまたは600W)で均一に熱を伝達します。

  • ウォッシュド精製・深煎り寄り: 500W × 50s を 2〜3回 実施後、600W × 40s へ移行。
  • ナチュラル精製・浅中煎り寄り: 600W × 40s を 3〜6回 連続実施。

このフェーズの後半で、豆の収縮が止まり、体積増加へ転じる「転換点」を迎えます。


Step 6: 1ハゼ誘導ブースト(※必要に応じて実施)

Step 5完了時点で体積増加(転換点)が確認できない場合、追加で「600W × 30〜40秒」を1〜2セット実施し、ハゼの発生領域まで確実に誘導します。


Step 7: 1ハゼの促進(高出力の短時間投入)

1ハゼを力強く確実に進行させるため、短時間の800Wと600Wを交互に投入します。

出力 照射時間 撹拌インターバル 状態・判断基準
800W 20秒 25〜30秒 昇温促進
600W 20秒 25〜30秒 温度保持・1ハゼ開始の監視
800W 20秒 25〜30秒 ハゼの勢いが弱い場合のみ適用。すでに強いハゼがあればスキップ
600W 20秒 25〜30秒 1ハゼのピーク展開

Step 8: 仕上げ・焙煎停止判断

1ハゼ収束後、目的の焙煎度に合わせて「600W × 15秒」を刻みながら最終加熱を行います。

  • 中浅煎り(シナモン〜ミディアム): 1ハゼ終了前後で停止(2ハゼの兆候前に終了)。
  • 中煎り(ハイ): 1ハゼ終了後、数セット追加。
  • 中深煎り〜深煎り(シティ〜フルシティ): 2ハゼの「パチパチ」という細かな破裂音が始まった直後、またはピーク時に停止。

Step 9: 排出・急冷

  1. 焙煎終了後、ただちに豆を冷却トレイ(ザル等)へ排出します。
  2. 赤外線温度計等で豆の排出直後温度を計測します。
  3. 送風機(ドライヤーの冷風やファン)を用いて一気に30℃前後まで冷却します。
仕上がり目標 排出直後温度の目安 豆の外観的特徴
中浅煎り 約 205℃ 明るいシナモン色、シワが残る
中煎り 約 215℃ 茶褐色、シワが伸び始める
中深煎り 約 225℃〜229℃ 濃褐色、油分が表面に滲み始める
焙煎を終えたコーヒー豆
焙煎を終えたコーヒー豆

体積変化と出力プロファイル例

エチオピア・ゲシャビレッジの焙煎グラフ(2026年7月25日)
エチオピア・ゲシャビレッジの焙煎グラフ(2026年7月25日)