CHAPTER 01 / 06

準備する器具・材料

このページの内容

本章では、電子レンジのマイクロ波を用いてコーヒー豆を焙煎する際に必要な器具および材料について解説します。

必要な器具・材料一覧

  1. 電子レンジ
  2. コーヒー生豆
  3. ホウケイ酸ガラス製耐熱容器(シリンダー型)
  4. 木製割り箸(※竹製は不可)
  5. 耐熱グローブ
  6. 厚手のタオル

1. 電子レンジ

フラットテーブル型およびターンテーブル型の双方が使用可能です。

ただし、マイクロ波の照射方式が異なるため、焙煎過程における生豆の挙動に違いが生じます。
本書では、筆者の検証環境であるパナソニック社製フラットテーブル型電子レンジを基準として記述しています。

ターンテーブル型を使用する場合も基本的な手順は同様ですが、必要に応じて加熱時間や撹拌タイミングを調整してください。

注意
電子レンジに搭載されているヒーター式の「オーブン機能」ではなく、純粋な「マイクロ波加熱(レンジ機能)」のみを使用します。


2. コーヒー生豆

一般的な家庭用電子レンジの出力特性上、1回あたりの推奨投入量は**150g前後(最大200g程度)**です。過剰に投入すると加熱ムラが生じやすくなります。

秤に載せた144gの生豆
秤に載せた144gの生豆

3. ホウケイ酸ガラス製耐熱容器(シリンダー型)

マイクロ波による焙煎を行うため、容器は以下の条件を満たす必要があります。

  • マイクロ波透過性: 比誘電率が十分に低いこと(ホウケイ酸ガラスは4.3〜4.8と極めて低損失)。
  • 耐熱温度: 焙煎完了時の豆温度(約230℃)に十分耐えられること(ホウケイ酸ガラスの耐熱温度は450℃〜500℃)。
  • 耐熱衝撃性: 急激な温度変化への耐性(耐熱温度差120℃〜150℃以上)。焙煎時の温度上昇は段階的なため実用上問題ありません。

「マイクロ波を透過すること」「230℃以上の高温に耐えうること」の2点を満たすため、必ずホウケイ酸ガラス製の耐熱容器を使用してください。一般的なガラス容器は破損の危険があります。


4. 耐熱ガラス容器の推奨形状

150g〜200gの生豆が入るホウケイ酸ガラス容器であれば使用可能ですが、本書では豆の体積変化を目視で観察しながら焙煎進行を制御する手法をとるため、目盛りの付いたシリンダー形状(メスシリンダー型)の利用を推奨します。

焙煎後の容器は200℃以上の高温になるため、安全性の観点から取っ手付きの容器が適しています。

また, 焙煎進行にともなう豆温度の上昇を促進, 維持するために蓋を使用します。
ただし, シリンダ側に注ぎ口があるものを使用し, 焙煎中, 容器が完全に密閉されることを防ぎます

焙煎に使用する耐熱ガラス容器
焙煎に使用する耐熱ガラス容器

5. 木製割り箸(※竹製は使用不可)

フラットテーブル型電子レンジでは、マイクロ波は庫内底面の中央部に向けて強く照射されます。容器が底面に直接接していると、底部の豆だけが過熱され、庫内底面自体も過度な高温に晒されます。

木製割り箸を台座として敷き、容器を底面から浮かすことで、局所加熱と庫内底面への過熱ダメージを防止できます。

台座にはマイクロ波をほとんど吸収しない(誘電損失率が極めて低い)乾燥した木材を使用します。

木製の割り箸の上に置いたガラス容器
木製の割り箸の上に置いたガラス容器

注意事項

  • ターンテーブル型電子レンジでは、本台座を設ける必要はありません。
  • 塗料や防腐剤が塗布された割り箸は使用しないでください。
  • 竹製の割り箸は使用できません。過熱時に油分やヤニが滲み出し、焦げ付きや異臭の原因となります。必ず無塗装の乾燥した木製割り箸を使用してください。

6. 耐熱グローブ

焙煎中の豆および耐熱ガラス容器は200℃以上の高温に達します。また、容器口部からは100℃近い高温蒸気が噴出します。

焙煎工程では「庫内から容器を取り出し、振って撹拌し、再び庫内に戻す」という作業を高頻度で繰り返すため、火傷を防ぐ耐熱グローブが必須です。作業性を損なわない範囲で、十分な断熱性を持つ手袋を選定してください。


7. 保護用厚手タオル

耐熱グローブを着用していても、容器上部からの熱気や伝導熱を長時間受け続けるのは危険です。容器を振って撹拌する際は、容器上部に厚手のタオルを当てて蒸気と熱を遮断してください。

熱い容器を扱うための手袋とタオル
熱い容器を扱うための手袋とタオル